access_time2017年8月18日 更新
1棟マンション購入を検討中の方は「共同担保」に気を付けて!

こんにちは、自称”不動産業界の申し子”、コンサルタントF山です。
【知っておきたい!共同担保の基礎知識】では共同担保のメリットについて紹介しましたが、今回は共同担保で注意すべきことについて解説していきます。
1棟マンションを購入するためには共同担保がベスト?
すでに不動産投資用に区分マンションをお持ちのK野さんは、ゆくゆくは1棟マンションを購入したいと思っていました。その矢先、懇意にしている不動産会社の営業から出物の1棟マンションの話を持ち掛けられました。
さっそく銀行に融資の相談をしたところ、「現状保有する区分マンションも含めた共同担保であれば融資は可能」と条件提示されたそうなのですが……。
共同担保に設定された物件は売却ができない!?
S藤さんは東京近郊に区分マンションを所有している、一般企業にお勤めのサラリーマンです。不動産投資のノウハウがある程度、身に付いたこともあり、新たな物件を探していました。そんなある日、不動産会社の営業から「ぜひS藤さんにおすすめしたい1棟ものマンションがあるんです!」と連絡が入りました。「1棟ものマンションは自分にはハードルが高いのでは……」とは思ったものの、実際に現地調査に行ってみると、その物件がとても魅力的に感じ、前向きに購入を検討することにしたのです。
銀行に融資の相談をした結果、すでに所有していた区分マンションを共同担保にすることを条件にローンを借り入れることに。予想に反して、すんなりと1棟ものマンションが購入できて喜んでいました。それから数年が経ち、S藤さんは子どもの進学などをきっかけに、最初に所有していた区分マンションを売却して1棟ものマンションだけを残そうと考え始めました。「子どもが自立して余裕ができたら、また物件を増やそうかな」そんな風に考えていたそう。
S藤さんは、さっそく物件の売却の件で不動産会社の担当者に相談したところ、「共同担保を外さない限り、売却は難しいですね……」と宣告されてしまったのです。すっかり共同担保のことなんて頭から抜け落ちていたS藤さんは、まさに寝耳に水。確かに共同担保にすれば銀行からの融資が受けやすいといった利点はあります。しかし、それが売却の際の“足かせ”になるなんて、思いもよらなかったのです……。
将来的に売却するなら共同担保は避けたほうがいい
共同担保はローンを完済していなくとも外せるケースもあるようですが、それを実現するには銀行の担当者との交渉が必要になります。行内の稟議など面倒な手間がかかりますから、担当者としてはあまり積極的に話を進めたがらない可能性も高いでしょう。そう考えると、ローンの完済前に共同担保を解除できることは比較的イレギュラーなケースであり、期待は薄いと言えます。
S藤さんは、何の考えもなしに銀行から提示された共同担保の条件に応じてしまった自分のツメの甘さと事前の調査不足を嘆きました。「今更こんなことを言っても仕方ないけれど、ダメ元でいろんな金融機関を回って相談しておけば、ひょっとすれば共同担保にしなくても融資を受けられたかもしれない……」銀行からの帰り道、重い足取りのS藤さん。気が付くといつの間にか「♪行きはよいよい、帰りは怖い~」童謡の一節をつぶやくように歌っていました。
次回も、コンサルタントF山がちょっと難しい不動産用語を分かりやすく解説します。どうぞお楽しみに!