access_time2017年8月21日 更新
知っておきたい!共同担保の基礎知識

こんにちは、自称”不動産業界の申し子”、コンサルタントF山です。
不動産投資のために物件を購入する際、金融機関からの融資は必要不可欠でしょう。融資が受けられるかどうかで物件の購入可否が決まるわけですから、多くの不動産投資家にとっては非常に重要な問題です。融資可能となれば、飛んで喜ぶ方も多いはず。
ただし無事に融資が受けられることになっても、金融機関から「共同担保」という条件を要求されるケースがあります。そこで今回は、必ず知っておきたい「共同担保とは何なのか」についてお教えします。
共同担保って一体なに?
コンピュータ会社を退職後、2年前から不動産投資を始めたK野さん。もともと不動産投資に関しては完全なビギナーでしたが、勉強熱心な性格からコツコツと堅実なマンション経営をしています。現在も、不動産投資家の集まりなどに積極的に参加して、勉強を続けているようですが……。
どうして共同担保を要求されるの?
一般的に不動産の購入にあたり、ローンを組んで銀行などの金融機関から融資を受ける場合、その担保として購入予定の不動産に抵当権を設定し、登記を行います。これは万が一、借主がローンを支払えなくなった場合に、金融機関がその不動産を差し押さえて売却し、それによってローンの残高を回収することができるからです。一つのローンに対して、一つの不動産を担保とするというのが基本的な形式になります。
一方で共同担保は、一つのローンに対して複数の不動産を担保とすることを指します。借り入れの総額に対して、一つの不動産では担保として見合わないと判断された場合にこの方法がとられます。例えば不動産投資の目的でアパート1棟を4,000万円で購入したい場合、自己資金で500万円を用意し、残りの3,500万円は金融機関から融資を受けられるよう、ローンを申し込んだとしましょう。ところが金融機関の審査の結果、「2,500万円の融資ならOK」という回答が得られました。そこで数年前に購入した自宅を担保にして、購入資金の不足分1,000万円に充当することを条件に融資を承諾してもらいます。
離れたところにある複数の不動産も、それぞれを合計した価格が借り入れの総額に見合えば抵当権の対象となり、共同担保に設定されます。この際、土地と建物は別々に計算するのではなくて一括にまとめます。それは、土地とその上に立つ建物、さらに私道まで含めて共同担保にした方がより価値がアップする場合があるからです。
共同担保となっている一つの不動産が、地価の下落などによって価値が下がってしまったとしても、他の不動産に抵当権が設定されていれば、金融機関はそこから弁済を受けることでリスクを回避できることも。このような理由から、共同担保を条件にすれば融資が下りるというケースがあるのです。
またアパートやマンションの経営者側としても、新しい物件を入手するために現在の物件を共同担保にすることで融資を得やすくするといった戦略もあります。このようにしてより多くの不動産を増やしていく、不動産投資では比較的おなじみの手法です。
共同担保目録って?その見方は?
共同担保目録とは、抵当権や根抵当権など同一の債権に対して、複数の不動産が担保になっている場合、その物件の一覧を記載したものをいいます。共同担保目録は、登記事項証明書の抵当権や根抵当権の登記欄の下部にあり、該当する共同担保となっている物件をすべて閲覧することができます。
登記事項証明書の権利部(乙区)と共同担保目録から、その不動産にどの担保が設定されているかが分かります。また新たに登記申請をする場合、共同担保となっている物件の見落とし防止にも有効です。
次回も、コンサルタントF山がちょっと難しい不動産用語を分かりやすく解説します。どうぞお楽しみに!