相続税対策の不動産投資のリスクとは

access_time2018年6月22日 更新

相続税対策のためにおこなう不動産投資のリスクとは

相続税対策のためにおこなう不動産投資のリスクとは

2015年1月に実施された税制改正では、相続税が大幅に引き上げられました。これまで相続税に該当しなかった人も、税制改正により多くの方の負担が考えられます。そこで考えておきたいのが将来相続をする可能性がある人です。早いうちから相続税を抑えるためになんらかの対策が必要となってくるでしょう。しかし、相続税に対してどのような対策が自分に合っているのか、また自分で調べてみても難しくてなかなか理解できない方も多いのでしょうか。実際銀行に相談してみたものの相続税対策として不動産購入を勧められたというケースもあるようです。しかし、新たに銀行から借金をするというのは少し勇気がいるものです。また、相続税対策のために賃貸アパートなどで不動産経営を始める方もいますが、定期的な収入を得ることや、リスクが少ないなど、メリットばかりが目立ちます。もちろん、不動産投資もうまくいけば相続税に悩まされることも少ないでしょう。しかし、どんな投資にもリスクはつきものです。今回は、相続税どのようなリスクがあるのか、また2015年に実施された税制改正について説明していきます。

2015年に実施された相続税の税制改正とは

2015年に実施された税制改正では、基礎控除の減額や相続税率の引き上げなど、大きく変わりました。具体的にどのように改正されたのか確認していきましょう。(参照:国税庁

今回の税制改正では大きく分けて4つ変更になりました。特に注目したいのが基礎控除の引き下げです。

改正前は、5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)でしたが、改正後は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)に変更になりました。

例えば、親のAには、妻と子供ふたりがいるのでこの三人が相続するとします。財産は5,000万円あった場合。改正前は相続税の負担はありませんでした。

改正前

5,000+(1,000万円×3人)=8,000万円

改正後

3,000+(600万円×3人)=4,800万円

改正前は基礎控除(5,000万円)が財産を上回るので相続税の負担はありません。しかし、改正後は財産に対して基礎控除が上回るので相続税を負担しなければいけません。今回の税制改正から相続税が発生するという人が増えるので大きな出費をともなう可能性があります。

相続税を抑えるためにどのような対策ができるのか

2015年に税制改正があったことから、不動産投資をはじめる人が増えています。なぜ相続税対策のために不動産投資をするのでしょうか。現金を金融機関に預けているとその金額に対して相続税がかかります。ところが、不動産投資用に土地や物件を購入すると相続税評価額は3分の1まで下がります。そのため、相続税を抑えるために不動産投資を勧められるのです。そこで相続税対策のために物件を購入し相続税を0にすることができたとします。しかし、それで安心できるのでしょうか?実は、相続したあともいろいろなリスクが考えられます。そのリスクのひとつに、購入した物件のローン残債です。

ローン残債がある場合、相続をしたからといって安心ではない

相続税を節税するために不動産投資を始めた方がいます。例えば、親をAさんとします。Aさんが亡くなったあと、妻とふたりの子と3人で遺産を分割しました。Aさんには、相続税を節税するために建てたアパートのほかに、貯金や金融資産などがあります。これを均等に割り当てるために遺産分割協議書を作成し、遺言通り分割されました。これまでAさんが経営されていたアパートも息子(兄)が引き継ぎ最初はうまくアパート経営が成り立っていました。しかし、不動産を購入するために金融機関からお金を借りていたためローンがまだ残っていました。兄もこの残債も引き継ぎながらアパート経営もうまく成り立っていたのですが、兄がおこなっていた商売の状態が悪く、毎月の支払いが滞ってしまったのです。そこで金融機関から、Aさんの妻と息子(弟)に通知書が届きました。妻と息子にもローン支払いの義務があるという通知です。このように、金融機関の支払いは兄がおこなっていたとしても、滞ってしまうとAさんの資産を相続した妻と弟にも支払う義務が発生するのです。一般的に相続の割合は、妻が2分の1、子がふたりいれば子は4分の1となります。例えば1億円ローン残債が残っている場合、妻が5,000万円息子は2,500万円返済する義務が発生するのです。このローン返済が、妻や弟に債務が発生しないために「免責的債務引受契約」を行っていると支払う義務がなくなります。

「免責的債務引受契約」とは

相続を受けた家族が返済を逃れるためには、「免責的債務引受契約」をおこないます。これはもしローンなど支払いが滞っても、妻と弟に支払いをおこなう義務がなくなるというものです。相続は遺言がない場合相続された人数でそれぞれの取り分を決めます。しかし今回のようなローンなど残債が残っている場合は、相続人全員で引き受ける義務があります。そこで実際に残債を払っている以外の相続人に返済義務がなくなる「免責的債務引受契約」を結びます。この契約を結ぶと金融機関の支払い義務は今回の場合、賃貸経営をおこなっている兄のみに発生します。ところが、この「免責的債務引受契約」をおこなうには、金融機関の承諾が必要なのです。金融機関もこのようなことが起こることを想定しているので、「免責的債務引受契約」の承認を引き受けないことがあります。そこで、金融機関が希望するのは「重畳的債務引受契約」というものです。

この重畳的債務引受契約とは、金融機関に有利なものです。今回の例で考えると、兄がローンを支払えなくなった場合、妻と弟に債務を請求できる契約です。この契約を結んでおくと金融機関はもし支払いが滞っても、Aさんの資産を相続した家族に請求することができます。そのため、もともと兄がローンの支払いを行っていたとしても、支払いを滞納してしまうと妻や弟に残った債務を支払う義務が発生します。

団信に加入していると相続税は回避できるのか?

それでは相続税対策のために「団体信用生命保険(団信)」に加入されている方は相続税を回避できるのでしょうか。団信とは、住宅ローンを借りている方が、死亡・高度障害状態になった場合、金融機関が代わりに残りの残債を支払うというものです。もし団信に加入していたら、相続税の計算によりマイナスの資産として計算されていたローンが免除されてしまいます。免除されてしまうと、相続税の対象となってしまうため財産として認められてしまうため、さらに相続税が増えてしまうのです。そのため、団信は相続税対策にはマイナスの側面を持つと考えられます。

不動産を相続する場合はリスクがあることを知っておく

資産を持っている親が亡くなった場合、妻や子供に相続されますが、資産を分割したからといって相続が終わったわけではありません。今回ご紹介したように、親から引き継いだ不動産に債務があった場合、その債務も子に引き継がれます。またその子が支払えない場合は、家族全員に支払う義務が発生します。相続が終わったと思っていても、このようなケースも考えられるので、ローンが返済できない可能性がある場合は売却もひとつの方法でしょう。もちろん、売却するために不動産会社に依頼する場合、仲介手数料や登記費用などの費用がかかります。このように、ローン残債が払えなくなることも考えられるので、財産を引き継ぐときは将来安定してローンが支払っていけるか考えてから行うようにするといいでしょう。

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