access_time2017年8月15日 更新
家賃保証の甘い罠に惑わされないで!サブリース契約はトラブルの温床?

こんにちは、自称”不動産業界の申し子”、コンサルタントF山です。
「もし空室が発生しても家賃を保証しますので安心してください」そんな営業トークに乗せられてサブリース契約をしたものの、実際はそんなに上手くいくはずもなく、業者とのトラブルに発展してしまった……そのような事例は後を絶ちません。今回はサブリース契約をするべきか悩んでいる方に向けて、アドバイスをお伝えしたいと思います。
メリットだらけに見えるサブリース、契約するべきかどうか
先日、知人から「サブリースがらみで悩んでいる知り合いがいるから、相談に乗ってあげてほしい」と頼まれ、O木さんという男性にお会いすることになりました。
少し話を聞いてみると、どうやらO木さんは長い間、休耕地となっている実家の畑に、賃貸アパートを建てようか検討しているとのこと。そこで不動産会社とサブリース契約を結ぶべきかどうか、悩んでいるご様子です。
家賃保証をしてくれるって本当なの?
サブリース会社のTVCMや広告などで大きく謳われている「30年家賃保証一括借り上げ」「35年家賃保証一括借り上げ」とは、30年間または35年間大家さんのアパート(マンション)を 借り上げすることを約束する、すなわち家賃保証の契約のことです。
しかし、これについては気を付けておきたいポイントがあります。実はサブリース制度は、契約時の賃料を30年間または35年間ずっと保証するというものではありません。通常、保証してもらえる家賃の金額は2年をめどに見直されます。契約書にはその旨が記載されていますが、見落としてしまう人も少なくないでしょう。そのため、いざ家賃の引き下げを通告されると「えっ、そんなこと知らなかった!」ということにもなりかねません。
入居状態によっては最悪、最初の更新時に賃料をいきなりダウンの提示をされることもあります。アパート(マンション)を建築する際、大家さんはかなり高額のアパートローンの融資を受けているため、引き下げの金額によっては毎月の返済にも支障をきたしかねません。挙句の果てにアパート(マンション)を売却せざるを得ない、そんなケースもありえます。
現行の借地借家法はサブリース会社に都合が良い?
そもそも、なぜサブリース会社からの一方的な家賃の減額が通用しているのでしょうか。それは、最高裁がサブリース会社の申し出を借地借家法により認めたからです。本来は弱い立場の者を守るために存在しているはずの法律が、大家さんではなく結果的にはサブリース会社を庇護することになったのです。
ただし、平成16年に出た判決では、サブリース契約時に決めた賃料が、以降の経済状況の悪化などで減少する場合、そのすべてを賃貸人(大家さん)に負わせるのではなく貸借人(サブリース会社)にもリスクの一部を追う責任があると担当裁判官が注目すべき発言をしています。
サブリースを解約する権利はサブリース会社にある?
建てたばかりはピカピカのアパート(マンション)も、年数が経つと老朽化していきます。当然、設備などのメンテナンスやリフォームが必要になりますが、サブリース会社に管理を依頼している場合はその施工金額もかなりの高額になってしまう可能性があります。
さらに周辺に競合物件が増加すると、入居者を獲得するため、大家さんに賃料減額を求めることもあります。なかには大家さんが賃料減額を拒むと、サブリース契約を解除し、入居者をサブリース会社の保有している別の近隣物件に強引に引越しさせたというケースも……。契約書に「協議が成立しない場合は契約を解除できる」という条項が設けられてあるからです。
逆に大家さんからサブリース会社に解約を申し出る場合も、ひと苦労です。詳しくは【サブリース契約を解除させてくれない!?悪質な業者にご注意!】をお読みください。
このように、サブリース契約にはさまざまな予想外のトラブルが発生するリスクがあります。本当に信頼に足る業者なのか、自分では物件の管理ができないのか、よくよく考えることが大切です。
次回も、コンサルタントF山がちょっと難しい不動産用語を分かりやすく解説します。どうぞお楽しみに!